雨のち晴れ。
「あった」
私はお目当ての漫画を手に取り
レジへ向かった。

ドンッッ

「お姉ちゃん、ごめんね」
小さい子だった。
大事そうに包装している本を抱え、
お母さんのところに戻ろうとしていたのだろう。
「大丈夫だよ、君は?」
「僕は、大丈夫」
「そっか、気をつけてね」
「うんっ」
小さい子は、しっかり前を向いて走っていった。
お母さんと手を繋ぎ、書店を出ようとしていた。
ふっとお母さんがこちらを向き、
ペコっと軽く会釈して出て行った。

「次の方ー、どうぞー」

私も、レジを済まし書店を後にした。
余計なものは、買わない主義なので
寄り道をせずに家に帰った。
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