猫かぶりな君。


よし。日誌書くのはこれくらいでいいかな。
早くいかないと部活遅れちゃうよ…


鞄は持ってかないでまた戻って来ればいいかな。


使ったものを鞄にしまい日誌を持って職員室に向かった。



「…失礼しましたー」


今何時だろう…?
歩きながら時計を見ると部活が始まる時間の4時を過ぎていた。


やば…
マネージャー1人だけだしボール拾いとか部員がやることになっちゃうよ…
早くいかないと!



急いで教室に入って鞄を取ろうとすると−

私の席に誰か座ってるし…
誰だろ…

「…ちょっと。そこ私の席なんだけど−」

静かに歩いて自分の机の後ろまで来た。



「あ、悪い!」



その言葉と共に顔をこっちに向けて立ち上がった。

髪の毛はウルフカットで無造作に遊ばれている。色は淡い茶色に金が混ざっている感じ。



−志賀くんだ。


なんで私の席に志賀くんが座ってるの…!?
私たち1回も話したことないよね…?


「…待ってたんだ。」




私を…待ってた?
混乱している私を気にしないで話を続けた。


「君ってサッカー部のマネだよね?」


「う、うん」

なんでこんなこと聞いてくるんだろ…

「俺さ、サッカー部入ろうと思ってるんだ。」


「そ、そうなんだ!!」

志賀くんがサッカー部に入る…
部活の時まで志賀くんと一緒にいれるんだ…
どうしよう、嬉しい…


「明日から行くからよろしくな!」

じゃあね、と言いながら私に背を向ける。



「うん、じゃあね…!」

どうしよう…ドキドキしすぎて全然話せなかったよ。

話すの初めてだったのにな…

はぁ…今さら後悔しても遅いよね。




………………
………



“君”かぁ…




なんでこんなに落ち込んでるんだろ…
志賀くんが転校してきて1人1人の自己紹介とかあった訳じゃないから私の名前なんて知らない事なんて知ってたじゃんか…


なにを期待してたんだろ…

「あ」

いきなりどうしたんだろ…?忘れ物かな…

「また明日ね、真央ちゃん」



志賀くんは振り替えって笑いながら言った。

真央…ちゃん?

「…なんで私の名前」



志賀くんは優しく微笑みながら教室を出ていった。


私の名前知っててくれたんだ…
どうしよう。






すごい嬉しい…!




これが私の初めて話した日の出来事だった−
< 4 / 41 >

この作品をシェア

pagetop