【短編】空を見上げると…
呆然と立ち尽くすオレのところに、和哉と彰も駆けつけて、オレたちはスカイデッキにいた。
梅雨を匂わせる、重たい風が体にまとわりつく。
「多分、あの飛行機だよ」
ジャスト14時。
動き出した飛行機を夏奈子が指す。
あの飛行機に陽菜が乗ってる……。
こんなに近くにいるのに、オレは陽菜の手を取ることも出来ない。
陽菜……ごめんな。
そう心の中で呟くと、陽菜を乗せた飛行機がゆっくりオレから離れていった――。