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アリスはどうして・・・と彼に問いかけた。
「おじ様なら、父の意思を動かして背中を押して上げられたはずです。」
「そうかもね・・・。」
だが言えない理由が私にはあった。
「私もね、彼と同じなんだ。」
「同じ・・・?」
社長はうなずいて、改めて自分がロンドンの学校まで来たことを話した。
「私は・・・親に逆らって家を飛び出してきた。
ラファエルと同じように口げんかをして両親から離れてしまった。」
伝えなければいけなかった感謝の思いと、自分の意志を伝えられなかった。
子供のようなわがままにまかせて、両親を裏切ってしまった。
きっとちゃんと向き合って話せばわかってくれたはずなのに・・・。
「私は後悔したよ・・・。自分が情けなかった。
若気の至りってやつだね。
ロンドンに来てから何度も家に顔を出そうかと思ったが、できずにいた。
そんな私がラファエルにえらそうに言う資格なんてないと思ったんだ。」
アリスは恥ずかしそうな笑みで話す彼を見て、苦笑した。
「自分を反面教師に、彼にちゃんと話せ、なんてやっぱり・・・言うべきじゃないと判断した。」