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穏やかな表情に彼の黒い大きな瞳が少し潤む。
「本当に、お母様そっくりで・・・。」
アリスは恥ずかしそうに微笑んだ。
「積もる話もあるが、それはまた今度にしよう。」
そういって彼は机の上の白い紙を手にとった。
「とりあえず、正社員としてこれに証明を。サインを忘れずに、履歴書はいただいておくよ。」
「え、あ、はい!」
アリスはペンを手に取りてきぱきと記入していった。
「よし、採用。」
社長は大きなはんこを紙に押した。
「おめでとう。これで君はSEED RECORDの正社員だ。あ、新人用の名札はそれだからね。」
「あ、はい。(早い・・・)」
せっかちなところも変わっていないんだなぁ。
社長は満面の笑みで用紙を受け取った。
「ま、仕事は明日からでいいから。私の連絡席は名札にあるからね、私はこれから人と会う約束があるので」
早口で説明し終えると少し立ち上がり、近くにあった車椅子に手を伸ばした。
アリスは立ち上がって彼に手を貸して座らせた。
「ありがとう。」
彼はアリスの瞳を見つめて、複雑そうな表情で微笑んだ。
「では、私はこれで失礼します。本当に色々ありがとうございます、おじ様。」
笑顔で礼を言って頭を下げた。
彼はうん、と短い返事をした。
アリスは彼に背を向け、ドアの前まで行き、ノブに手をかけたときだった。