IF
第三章 「魂が奏でる」
マネージャー
SEED RECORDへの初出勤日。
思ったほど緊張していない。
事務所の最寄り駅で電車を降り、通勤ラッシュの人ごみの中を早足で進んでゆく。
昨日怪我をした右足が痛むたびに、昨日の出来事を思い出す。
シュラとの突然の出会い。
応急処置を施してくれた後、タクシーを止めてくれて何も言わずに去ってしまった。
まともに礼を言うことさえできなかったので、今日は早く事務所に行って挨拶をしようと思った。
社長に連絡して聞いたところ、シュラは最近仕事に追われる毎日で、ほとんど家に帰らず事務所に泊まることが多いようだ。
できれば迷惑をかけたお詫びに何かしたい。
挨拶の言葉を考えながら、昨日つまずいた事務所の前の階段を気をつけて上がり、エレベーターに乗った。
社長室の前を通ったとき、話し声が聞こえた。
少し立ち止まって耳をすませてみると、誰かと話しているようだった。
「どう思う?」
「何がですか。」
話し相手は昨日聞いた声、シュラだった。
「いや、君のマネージャーにどうかな、と思って。」
もしかして、私のことを・・・?
「・・・あのなぁ、社長さん」
時々もらす日本語。
どうやらシュラは日本語も少し話せるようだ。
私より日本での生活は長いはずだし、母親が日本人なら普通に日本語のほうがうまいのかと思ったのに・・・。
そうでもないのかな。
シュラはうんざりしたような口調で続けた。
「俺はあんたことは信用してるけど、女はもう嫌なんだよ。」
「やれやれ、英語でも言うことは同じか・・。」
女は嫌・・・?
思ったほど緊張していない。
事務所の最寄り駅で電車を降り、通勤ラッシュの人ごみの中を早足で進んでゆく。
昨日怪我をした右足が痛むたびに、昨日の出来事を思い出す。
シュラとの突然の出会い。
応急処置を施してくれた後、タクシーを止めてくれて何も言わずに去ってしまった。
まともに礼を言うことさえできなかったので、今日は早く事務所に行って挨拶をしようと思った。
社長に連絡して聞いたところ、シュラは最近仕事に追われる毎日で、ほとんど家に帰らず事務所に泊まることが多いようだ。
できれば迷惑をかけたお詫びに何かしたい。
挨拶の言葉を考えながら、昨日つまずいた事務所の前の階段を気をつけて上がり、エレベーターに乗った。
社長室の前を通ったとき、話し声が聞こえた。
少し立ち止まって耳をすませてみると、誰かと話しているようだった。
「どう思う?」
「何がですか。」
話し相手は昨日聞いた声、シュラだった。
「いや、君のマネージャーにどうかな、と思って。」
もしかして、私のことを・・・?
「・・・あのなぁ、社長さん」
時々もらす日本語。
どうやらシュラは日本語も少し話せるようだ。
私より日本での生活は長いはずだし、母親が日本人なら普通に日本語のほうがうまいのかと思ったのに・・・。
そうでもないのかな。
シュラはうんざりしたような口調で続けた。
「俺はあんたことは信用してるけど、女はもう嫌なんだよ。」
「やれやれ、英語でも言うことは同じか・・。」
女は嫌・・・?