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第六章 「Mirror Eyes」

夢

眠っているときに見る夢、それは俺にとっては恐怖そのものだ。
決まったペースで見るわけではないが、幼い頃から見てきた夢はほとんど悪夢ばかりだった。
嫌な思い出や知らない記憶がリピートされる夢。
見知らぬ場所で一人彷徨う夢。
高い場所から突き落とされる夢や、水の中で溺れる夢。
そして一番たちが悪いことに、俺には夢で昔からの特性があった。
それは、自分の知人や親しい人物が死ぬ前に、その人が死ぬ間際のシーンを夢で見ることだ。
今までロンドンでも何度かあった。
実際知らないはずの自分の両親が、海に心中するところも夢で見たこともあった。
そんな人が死ぬ夢を、4回もあったのだ。
そのたびに、自分だけが知っているせいでやりきれない罪悪感で胸が一杯になった。
悪夢は現実の幸運ということを聞いたことがあるが・・・
とんでもない。

「シュラさん・・・？」

我に返ると、真っ暗な中、目の前は豪雨だった。
あのときを思い出す、雨。
俺の中で永遠に降り続ける、止むことのない闇の中の黒い雨。
赤い血を流してゆくその水と
深く閉ざされていく暗闇、無情に頭に残る音。
そこには・・・

「シュラさん！」

アリスは傘を落として彼の腕を揺らした。
彼はまるで物語の中のキャラクターの一ページのように、固まって動かない。

暗く厚い雲は、どんどん濃くなっていくような気がした。
彼の瞳に、輝きが消えていた。
そして透明な雫が溢れていった。

「シュラさん・・・」