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「なぁ・・・花の天使っていなかったっけ?」
彼は眉をひそめて聞き返した。
「花?・・・そうだなぁ、雨の天使、月の天使、星の天使、とかは覚えがあるけど・・・花の天使はなかったんじゃないか?」
「そうか・・・。じゃあ・・・お前アイリスって花を知ってるか・・・?」
「アイリス・・・?ああ、まぁあまり見ないけど知ってるよ・・・?」
そうか、と悟は少し赤面してうつむいた。
不思議に思った彼は悟をからかうように聞いた。
「何だ、うちの庭に花壇でも作る気か?」
「そんなわけないだろ?ただ・・・綺麗だよなぁって思って・・・。」
「はあ?」
そうして自分が恥ずかしくなった。
何を言ってるんだろうな、俺は。
まぁ、心配しなくてもお前に相談したりはしないさ。
と、そんな風に思っていた。
だけど、そのとき私は気づかなかったよ。
まさか、そんな脈絡のない会話で私の気持ちがお前に知られてしまっていたなんて。
「あの・・・」
「ん?」
アリスは恥ずかしがりながら青春時代を話す社長の会話を止めた。
「父に対する心配事っていうのは・・・?」