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無表情にも淡々と答えていた彼は、無言で見つめ返していた。
ラファエルはテーブルに置いていた授業ノートを手に取ると、去り際に答えた。
「俺は、私利私欲のための会社なんて興す気は毛頭ない。」
金色の髪を揺らせて、彼は消えて行った。
「気づけば彼は遠くに行ってしまおうとしていたんだ。」
時が止まっているかのような病室で、私はおじ様の漆黒の瞳を見つめていた。
「私は焦っていたよ。このままじゃダメだ、と・・・。」
これじゃあ何も変わらない。
彼をこのまま彼自身が変わらないまま時間が過ぎていってしまってはダメだ。
「私は無性にそう思った・・・。」
私がそんな風に悩んでいる頃、アイリスから誘いがあった。
「悟くん!」
夕暮れ時、いつもの帰り道の公園の近くで彼女が駆け寄ってきた。
「どうしたの?そんなに急いで・・・」
彼女は息を切らしながらかわいらしい笑顔で言った。
「あのね、明日の日曜日、空いてる?」
「え、明日?」
「うん、よかったら二人で近くのホールであるコンサートに行かない?」
「え・・・」
いっきに心が晴れていくような気分だった。
アイリスからデートの誘い。
「久しぶりの彼の単独コンサートなの!」
「え、彼?」
「ラファエルくんよ!」