紅梅サドン
僕は空になったグラスにワインを注ぎながら、ルノーの言っている事はどういう意味なのだろうとずっと考えていた。

「つーかお前さあ、19だろうが。飲むんじゃねえよ、バカ。」

「お説教残念だねえ、俺ねえ、昨日20歳になったんだよねえ。おめでとうって言って、秋ジイ。」

「ああそうかよ。あまりに若くてイラつくわ。」

僕の言葉にルノーは『ジジイめ』と微笑む。大きな瞳が手に握るワインの赤によく似合う。

もしかしたら次郎の前では優しい兄なのかもしれない。

ルノーのそんな横顔を見ながら僕はそう感じていた。



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