紅梅サドン
「秋さんは、夏期休暇なんてあるんですか?。」

雪子は少し焦げたハンバーグを見つめながら、そう聞いた。

「ああ、お盆休みは三、四日はあるけどーー。何で?。」

「両親に会って。
 ーー結婚の挨拶」

「へ?。」

僕のハンバーグを食べる箸に、急ブレーキが掛かった。

「嘘!嘘ですよ。私、秋さんの気持ちを無理に焦らせたりしません。

冗談ですよ。
いつかそうなったらいいですケド。

そうではなくてーー。」

雪子は驚いた僕に少し笑いかけたが、また再び目線を落とした。



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