紅梅サドン
テーブルの上。

離婚届けがポツンと置いてある。

そこには雪子の署名が書かれていた。

「ーーゆ、ゆ、雪子お、突然何言い出すんだよお、こ、怖ええよおお。

な、何で刺したの?

つーか、け、結婚してたの?。」

ルノーの声が完全に震えている。

僕とルノーは恐怖からなのか、何故か気持ちの悪い事に、互いの腕をしっかりと絡ませていた。

ルノーの手のひらは汗で滲んでいる。

僕の手のひらは、その何百倍も尋常ではない汗をかいている。

そんな震え上がった僕達をよそに、雪子は演説会の如くハキハキと答えた。



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