紅梅サドン
『小西 真澄 様』
久しぶりに見た真澄の名前。
そのハガキは化粧品特売のお知らせだった。
『高級化粧品セール好評につき・第二弾開催中ーーこの機会を是非お見逃しなく!』
デカデカと書かれた赤い文字が目立つハガキ。
真澄がまだここに住んでいるかの様に、平然と送られてきたこのハガキを僕はジッと見つめた。
真澄の屈託ない子供みたいな笑顔が、ハガキの上にじわりじわりと浮かんでは消えて行く。
大好きな笑顔。
まつげが短いのをいつも気にしていた。
自分の口元にある小さなほくろを気に入っていた真澄。
料理が大の苦手な彼女。でも洗濯は大好きな僕の真澄。
ゴキブリはすぐ潰すくせに、小さなアリは苦手。