紅梅サドン
「ええ。色々大変でしたね、恭子さんもーー。

あの兄弟ときたら、とんでもない嘘ばっかり付きやがって」

僕は滲み出す額の汗を拭きながら、恭子さんに言った。

「ああ、別に気にしてない。

あたし今でもルノーが大好きだから。

悔しいけど、しばらく一緒に住んだら、まんまとルノーを好きになっちゃてね。

アイツの嘘はね、私にとっては許せる嘘なのよ。

実はね、気になったから、ルノーが私の家から突然出て行った後、こっそり興信所でルノー兄弟の事調べてもらったの。

だからルノーの事は全部知ってる。

あの子の親、自殺してんのよね。車で海に突っ込んでさーーー。」



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