紅梅サドン
「そうだったんですかーー。自殺したという話は、ルノーから聞いてましたがーー。」

僕は並んで歩きながら恭子さんを見つめた。

街の蒸し上がった空気が全身を包んだ。


「あの子ねえ、親御さんが亡くなってから、結構苦労したみたいなの。

次郎もいたでしょう。当時二歳だったのよね。

あの子の親は事業を起こして失敗したらしくてね、その資金繰りで親戚にも借金だらけだったらしくて、誰もあの子達の事を相手にしなくてーー。

施設に入るまでは、相当辛い思いをしたと思う。

自殺した自分の親について周りの大人達から、ある事無い事散々言われて。

興信所の人がそう言ってた。

詳しくは分からないけど、恐らくそうだろうって。」



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