紅梅サドン
その飲み会は始終、楽しい雰囲気で無事終わった。

雪子も初めは緊張していたが、恭子さんが上手くリードしてくれたお陰で、途中からは雪子も楽しんでいたようだ。

流石に客商売を生業とする恭子さんは、感心するくらいに人の心を掴むのが上手い。

“女王様”は意外とデキる人だーー。

矢萩は雪子や恭子さんという、タイプの違う二人の美人に囲まれて心から生き生きとしている。

矢萩は雪子とも打ち解けており、僕は心から安心していた。


「恭子さんが時折見せる、あの冷たい氷の様な瞳ーー。

ーー惚れた。」

矢萩は恭子さんに、完全にイカれてしまったみたいだ。

その恭子さんの仕事は“エステティシャン”という事になっている。


『矢萩よ、いろんな意味で頑張れーー』


恭子さんの本当の仕事が“女王様”な事を知るよしもない矢萩に、僕はそっと心の中で唱えた。




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