紅梅サドン
「田辺、来週の土曜日だからな。

忘れるなよ。

青梅の施設から、電車で一時間も掛けてボクが通っている、“大手塾”の友達だからな。

失礼な事言うなよなーー。恥かくのは嫌だから。」

次郎はそう言って僕を睨んだ。

「何だ、地元の友達が来るって、前に言ってたじゃねーか。話が違うな。

まあ大手塾だろうが何だろうが、お前と同じ小学三年生が来るって事だな。

お前みたいに根性がひん曲がってない、素直な少年達が来る事を祈るよーー。」


次郎は僕の言葉に初めて少し微笑んだ。

ルノーが無意識に剥ぎ取ってしまった毛布を、次郎はそっと掛け直している。




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