紅梅サドン
「おい、その塾の友達ってのはやっぱり、もれなく皆さん頭が良いのか?。」

「みんな『志望大学』は一緒だよ。」

「その『志望大学』ってのは、分かりやす過ぎて聞きたくもないわ。

お前もどうせそうなんだろ?

それは全然構わないけど、お前将来なりたいモノとかあんのか?。」

次郎は伸びかけてきた髪の毛を、面倒そうにかき上げた。

「説教か?大人がよくする説教だな。

そうだな、その大学にもし入れたらーー。

金持ちで偉い“官僚”にでもなってやるよ。大人がみんなボクにペコペコ頭を下げる様な。

気持ち良いだろな。ルノー兄ちゃんにも良い家に住ませるんだ。」

この歳で『官僚』と言い張る次郎の小さな瞳を僕は静かに見つめた。



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