紅梅サドン
午後二時を過ぎた頃、家の呼び鈴が、けたたましく鳴り響いた。


「あ、次郎君のお友達いらっしゃいましたね。」

雪子はエプロンを外して玄関に向かう。

次郎を見ると、その顔は緊張感が漂い、真っ青な色をしていた。


「よう、海島ーー。塾の夏期講習も来ないで、こんな所でサボってんのか。


この人かあ?お前の『父ちゃん』って?ーー。」

玄関から入って来たその中の一人が、僕を見て声を荒げた。



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