紅梅サドン
次郎が後ろから必死に僕を掴んで、止めようとしている。

しかし僕は止まらなかった。

「ーーサッカーが上手いから、雑誌に書かれたから、調子に乗ってるって?

調子に乗って何が悪いんだよ。

いいだろ調子に乗ったって!!

神様は悪い事の後には、必ず良い事を授けてくれんだよ。

生きていくための、小さな“希望”ってのを与えてくれるんだよ。


俺は次郎に同情なんてしてない。

ただーー、

次郎がな、精一杯の“悲しい嘘”をお前らに付いたから、

同じく俺も、お前らに精一杯の“嘘”を付いただけだ。


お前らみたいに、人が精一杯付いた悲しい嘘を笑う様な奴等はなーー、

ロクな大人になんねーんだよ!!

このウンコ野郎!」

僕は激しく息を吐いた。

僕はまた子供相手に、大人ぶった余計な事を言ってしまったのかも知れない。


しかし後悔はしていなかった。



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