紅梅サドン
雪子が僕の肩に後ろからそっと触れる。

僕は立ち上がったまま、次郎やルノーの顔が見れない。



すると突然ーー、

立ち尽くした僕の背後から、何か白くて大きな円盤が凄い速さで飛んできた。

その白くて甘い匂いの円盤は、僕の真横をかすめて、三人の少年の一人に見事命中した。

ねっとりしたクリームが、まるで花火みたいに辺りに飛び散る。


「どう?美味しいでしょ?

レアチーズケーキ」


恐る恐る円盤が投げられた方向に振り返ると、それは雪子だった。



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