紅梅サドン
三人の少年達は、たちまちレアチーズの飛び散ったチーズ臭さに慌てている。


「そのレアチーズケーキはね、そこにいる次郎君のお兄さんと、君達のために朝から二人で早起きして作ったの。

君達、子供だからって容赦しないわよ。

秋さんの言う通りよーー。

君達、勉強が出来て頭は良いのかも知れないけど、一つだけ足りないものがあるの。

それはねーー、

『想像力』。


自分達が言った事やした事で、相手の心がどれだけ傷つくのかーー。

そういう想像力が無いとね、悲しい大人になるんだから。」


雪子がケーキを投げた付けた右手は、クリームでベタベタになっている。


少年三人はクリームだらけになりながら、玄関へ一目散に向かって行った。



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