紅梅サドン
三人は何やら暴言を吐き捨てながら玄関を出て行く。

ルノーはすぐに腰を上げて、その三人の後を追って玄関を出て行った。



僕は初めて次郎を見た。

次郎は深く下を向いていて、表情が見えない。


「ちょっとトイレーー。」

そうつぶやくと、次郎は急ぎ足でトイレへ向かう。

僕は何も言わずに、聞こえない振りをした。

トイレの薄汚れたドアの向こうから、水を流す音に混じり、次郎の嗚咽が聞こえて来る。



< 217 / 311 >

この作品をシェア

pagetop