白球を追いかけて
「あたし、甲子園に行きたいんだもん。でもこの体じゃぁ行けないよ。女だもん。男子が成長し始めたら、あたしなんて役立たずだもん。」




寂しそうな横顔。





何とかしてやりたい。




「お前が女だからだめなのか?」




うなずく聡美。





「じゃぁ俺が甲子園に連れてってやるよ!女だからだめなんだろ?なら男の俺が行けばいい話じゃん。」





突然の事にきょとんとした聡美。




「…本当に?」




「ああ。俺が聡美を甲子園球場に連れてってやる。必ず。」




聡美は泣いていた。



でもさっきまでの悲し涙じゃぁない。





暖かい涙。





嬉しそうな笑顔浮かべて泣いてた。




「竜也ぁ、ありがとぉ!でもこれからは、あたしがバシバシしごいてやるから、覚悟しときなさいよ。」




いつもの聡美だ…




「うっわぁ、怖い女だなぁ。」




俺は甲子園に行くことを決意した。
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