白球を追いかけて
合宿の夜、俺は浜辺をランニングしていた。



いわゆる自主練習だ。




浜辺は砂が柔らかいからトレーニングになる。





それに俺は海が好きだ。




大きくて、静かで、真っ青で、海を見ていると心が落ち着いた。





しばらく走っていた。



「真面目なのね。」




不意に話しかけられて止まった。




横を見ると、聡美がいた。





「何だよ。悪いかよ。」




「別に。」





なんだかいつもとは雰囲気が違った。




いつもの明るい聡美じゃなかった。
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