白球を追いかけて



投げても投げても、変わらない。



「はぁ……はぁ……」


「もういい!止めろ。それ以上やったら肩こわすぞ!」


「るせぇ!投手がいなきゃ試合になんねぇだろ!」


「わかってる。お前力がうまくボールに伝わらないんだろ?」

「っちげーって言ってんだろ!!てめぇに何が分かるってんだ。」


「分かるさ。俺はお前の捕手なんだから。お前は認めてねぇみたいだけど。」


照れくさそうに頭をかいた。


「ふん、何が捕手だ。試合なんて俺一人で…十分……な、んだ、よ…」


ん?なんだか視界が霞んで…


体が支えられない。



なんだか冷たい。


雨……いつの間に降ってたんだ。


こいつは文句一つ言わず、練習につきあってくれてたのか。


もう…無理。


何も見えねぇ。
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