ショジョカノ
side:コンビニの店長

あらかたの仕事も終わり、休憩室で一服しようとしたら、机に一冊の手帳が置いてあった。

人の手帳を盗み見るのもあまり良くないことだが、自分も自覚してる通りひねくれた性格の持ち主なので、遠慮なく手帳を開いて、ページを捲る。(暇つぶしも兼ねて)

ページを捲るごとに、この手帳の持ち主とそいつの性格が分かり、サブイボがたった。


“〇月×日、今日俺は運命的な出会いをした。出会いはベタに更衣室。着替えている彼女とバッタリ遭遇したのだ。”

「いやいや、ベタじゃねーだろ」
突っ込まながら、続きを読み進める店長

“彼女の一目見た時に、俺の心の中にある、赤い恋の実が弾けるのを感じた。彼女は…(後にグダグダ続いている)”


「喜屋武の手帳だな…。こいつ昔の詩人みたいなことかいてやがんな。」

確か、喜屋武ってバンド活動やってて、ボーカル兼作詞・作曲もしてるってたな。

(あいつの歌ってる曲ってこんな感じの歌詞なのか…)


サブイボがたちつつも、意外にノリ気で読み進める店長。

日記が最近の記事になった時に、手帳の持ち主が部屋に入ってきた。

「人の手帳勝手にみないでください!」
「あー悪かった」

悪びれた様子もなく、棒読みで謝る店長の手から、手帳をひったくる喜屋武。


「見た俺も悪かったが、そんな大事な日記、手の届く場所に置くなよ」

「うっ…すいません。…優子さんには言わないでくださいね」

「当たり前だ。まぁ頑張れよ」といって喜屋武の頭を軽く叩くと、あいつは少しふてくされた顔をしたが「はい…」と頷いた。



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