アイ･ラブ･おデブ【完結】

小夜の言葉に遥は車の屋根をバンッと掌で叩いた

…ハル…そりゃ怒るよね…
歓迎会だと言って…合コンに参加していたら…
男の人にくっついていたら…
きっと今のバンッは…愛車じゃなくてあたしを…叩きたかったのかな…
…そうだよね…

赤くなった遥の手を自分の頬に持っていき、静かに小夜は言った

「ハル…
…あたしを叩いて…きっとそんなんじゃ…ハルの怒りは収まらないかもしれないけど…」

ギュッと目を閉じ遥の掌で叩かれるのを待った

「さあや…」

いつもの甘い言い方にゆっくりと目を開けると両頬が暖かな掌で包まれた

「バカだな…僕がさあやを叩くわけないよ…
そんなこと考えたこともない
今、殴りたいのはあの男だ！
さあやを困らせて…僕のさあやを抱き締めたりして！
会社の人じゃないんなら…一発殴っておけば良かったよ…
戻ってでも殴ってやりたい！」