アイ・ラブ・おデブ【完結】
小夜は飛行機に一人で乗り、隣の空いている席を見つめていた

…本当に…乗らなかった…
いったいどんなトラブルなのだろう…

いくら考えても小夜に分かるはずもなく不安に包み込まれる

しつこい悪魔は耳元で囁き続ける…
"もう戻らない…離れて行ったんだ"

胸元の小さな御守りに触れ、心の闇を懸命に追い払った

何度も心の葛藤を繰り返し、眠ることなく成田空港へと着いてしまった

入国審査を終えて到着ロビーに出るとそこには心配そうな顔をしたマサが待っていた

「小夜さん…お帰りなさい…
疲れただろ?
ほら…荷物を貸して…
向こうに車を停めてあるから…」

思っていなかったマサの出迎えに涙が溢れてくる

こぼれ落ちないように食いしばり、拳をきつく握りしめた

それ以上何も言わずに小夜の手からスーツケースを奪い、ゆっくりと歩き出した

駐車場に停まっていた白いミニバンは、後部座席にスーツケースと小夜を乗せて走り出した
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