アイ・ラブ・おデブ【完結】
その建物を見上げると自然と笑みが溢れる

…私を待つ完璧な人がいる…

入り口のガードマンにすら笑いかけたくなるほど気持ちが昂る

エレベーターを降りて、玄関まで付いてきたマネージャーは明日のスケジュールを伝え戻っていった

「ただいま!遥!
今日はどんな食事なの?」

キッチンで林檎を洗う遥の背中に飛びついた

「………」

何も言わずに濡れた手を拭き、環の絡み付いた腕を体から剥がした

「うん…もう…まあいいわ…
着替えてくるわね」

クローゼットに向かい細い肩紐に光沢のある柔らかいサテンのドレスワンピースに着替える

およそ自宅での食事をする格好ではないが、胸元や背中が大きく開き、体のラインを強調するドレスを着るのが最近の習慣だ

モデルとしての武器でもある完璧な体を披露すれば、どんな男もすぐに獣ような目を向ける

しかし、目の前の男は決して獣になることはなかった
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