アイ・ラブ・おデブ【完結】
「そうだ…僕は逃げるのかもしれない…
全てのことから背を向けて…
…トニーから聞いているんだろ?
環との昔の事も今一緒にいることも…」

怒った親友と目を合わせないように荷物の整理をする振りをしながら続けた

「来年オープンする店を任せられる
ずっと向こうにいるつもりだ
これは…僕が取らなくてはいけない責任なんだ
周りから見ればおかしいのかもしれない…
けれど…こうするしかないんだ
これが日本を離れる理由だ」

「遥…お前はいつからそんなヘタレなんだ?
一番大切な人を傷つけて…
他に選択肢がないだと?」

相変わらず怒気を孕んだ声で、この3ヶ月の小夜の様子を話し出した

それは遥の予想とは違う姿だった

悲しみに打ちのめされ泣いている姿ではなく、目の前の困難に立ち向かおうとしている…遥を信じて待っている強い女性の姿だった

…いつからそんなに強くなったんだい?
僕は君に愛される資格はもう無いんだ…
ごめん…

マサに顔を見られないように背を向けていて正解だった

きっと今、泣きそうな顔をしているに違いない
そんな気持ちを誤魔化すように作業を続けながらマサの言葉を聞いた
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