アイ・ラブ・おデブ【完結】
「ハル…おかえりなさい…
無事でよかった…」

何度も夢の中で聞いていた声だ

振り返りたい気持ちを誤魔化すように、本を集めた

「遥…小夜さんがどんな思いでいたのか分かるだろ?
お前の事を信じて待っているんだ
納得できる話をしろよ!」

マサの怒りを含んだ言葉にも作業の手を止めずに黙っていた

「おいっ!!」

マサに胸ぐらを掴まれ、今にも殴られそうになる

…殴られて当然だ
マサ…滅茶苦茶に殴ってくれ…

目を閉じ、全身の力を抜く
手にしていた本が足元に散らばった

「マサさん!」

必死に止める小夜の声がする

「…マサさん…お願い
話をさせてください…」

その言葉にマサの手から力が抜け勢いよく突き放された

「少し…頭を冷やしてくるよ…
コウ…行くぞ」

そう言って出ていき、遥は小夜と二人きりになった

いよいよ、この時がきた
どう切り出そうか迷っていると心配をする小夜の声が聞こえた

「ハル…少し痩せたね…」

…優しい言葉など僕にかけないでくれ…
これから君を傷つける言葉を用意しているんだ
お願いだ…優しくなんかしないでくれ
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