アイ・ラブ・おデブ【完結】
床に散らばった本を集めながら小夜が早口で話しはじめた

友人に会わせたいと言われるがそんな事は無理に決まっている
もう恋人ではなくなったのだから…

お腹の奥底からわき上がる感情を押し殺し、低い声で答えた

「…一緒に…行けない…」

思ったよりも声がかすれ、小さな声が出た

「…えっ?ど…どうして?」

感情を出さぬように無表情を必死に作る

「あっちに戻る…
向こうで仕事をするんだ…」

…ごめん…こんな傷つけるような言い方をして…
酷い男だと罵倒してくれ…
軽蔑して嫌いになってくれ…

遥の身勝手な願いは届かず、小夜は優しい眼差しで覗きこみ穏やかに聞いた

「ハルは…環さんを選んだの?
幸せになるのは…環さんの傍なの?
怒らないから…本当の気持ちを教えて?」

無意識に力を込めていた手に柔らかな手が重なり、鼓動をさらに加速させる

重ねた手から小夜の温もりが入り込み、感情を押し殺す事ができず眉を寄せた

そんな顔を見られないように立ち上がり背を向けた

…あぁ駄目だ…
顔を見て…触れてしまうと…
抱き締めたくなる
…抱き寄せてキスをしたくなる
…離したくない
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