アイ・ラブ・おデブ【完結】
やって来るバスは、数人の客を降ろし去っていく
ここから乗るような人はなく小夜の隣に座る人もいない
マンションの入り口には時々高級車が横付けされ、セレブな住人を乗せて遠ざかっていく
お手伝いさんなのか買い物袋を提げた徒歩の人も出たり入ったりしている
読書をしている風を装い、手にした本をずらして、出入りする人をチェックする
何度も視線を送るが、一番会いたい人も、一番会いたくない人も見かけることなく一日が終わった
とっくに日は落ち、凍えるような寒さがブーツの中へと入り込んでくる
外国で女一人夜の街にいたら何が起こるのかなんて分かっているし、この寒空の下にこれ以上いられるほどの体力も残っていない
けれども、次の人を確かめたらきりをつけようと何度も思うが、ここを離れる決心ができない
…もしかしたら、ここをあたしが離れたすぐ後に通るかもしれない…
あともう少しだけ…
もう1台バスが来たら…
そう自分に言い聞かせ、お洒落な門灯が灯る入り口を見つめた
しかし、次にバス停に停まったのは慎太郎の運転するレンタカーだった
ここから乗るような人はなく小夜の隣に座る人もいない
マンションの入り口には時々高級車が横付けされ、セレブな住人を乗せて遠ざかっていく
お手伝いさんなのか買い物袋を提げた徒歩の人も出たり入ったりしている
読書をしている風を装い、手にした本をずらして、出入りする人をチェックする
何度も視線を送るが、一番会いたい人も、一番会いたくない人も見かけることなく一日が終わった
とっくに日は落ち、凍えるような寒さがブーツの中へと入り込んでくる
外国で女一人夜の街にいたら何が起こるのかなんて分かっているし、この寒空の下にこれ以上いられるほどの体力も残っていない
けれども、次の人を確かめたらきりをつけようと何度も思うが、ここを離れる決心ができない
…もしかしたら、ここをあたしが離れたすぐ後に通るかもしれない…
あともう少しだけ…
もう1台バスが来たら…
そう自分に言い聞かせ、お洒落な門灯が灯る入り口を見つめた
しかし、次にバス停に停まったのは慎太郎の運転するレンタカーだった