アイ・ラブ・おデブ【完結】
「小夜さん!乗ってください
遅くなってすみません…」

ものすごく申し訳なさそうに助手席のドアに小夜を導き、暖かい車内へ迎え入れた

…あぁ~暖かい…生き返るぅ~
でも…この後に帰ってくるかもしれない…
やっぱり待っていたいかも…

走り出した車を戻すように声をかけようとしたとき、先に話はじめたのは慎太郎の方だった

「寒かったですよね…
迎えにくるのが遅くなってすみません
調べるのに思った以上に時間がかかってしまって…
結果から言うと…
彼はパリにはいません」

…えっ?パリにいない?
じゃあ…どこに?

見開いた瞳でハンドルを握る慎太郎の方を向いた

「彼はオープンする店の食材を探しに地方や色々な国々へ廻っています
やっとその足どりが掴めました
今は…」

そこで区切って少し言いずらそうに赤信号を見つめた

「…インドに…」

…インド!?ってあの…インド?
カレーライスでもメニューに入れるのかしら?

小夜の数少ない海外情報ではインドと言えばカレーにヨガ、ガンジス川にタージマハールぐらいしか思い浮かばない

「インド…」

頭の中で川に入り沐浴をしている遥を妄想していると、チラリと視線を感じた

「香辛料も有名ですが…
インドの奥地に幻の紅茶があるそうで…
それを求めて1週間ほど前から出掛けているそうです」
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