アイ・ラブ・おデブ【完結】
「…マリー…さん?」
その名を口にした小夜に、顔を上げずに彼女は小さく頷いた
「あちらに座りませんか?
陽射しが暖かなんですよ」
慎太郎が待つ場所にマリーを優しく誘いゆっくりと歩きだした
マリーに通じぬ言葉で語りかけてしまったが、素直に従ってくれたことに安堵した
しかし、二人かけのソファに一緒に座った彼女の全身からは、薄氷のような脆さが滲み出ている
どう話をしたらよいのか分からず、その骨ばった手を温めるように手を重ねた
しばらくの静寂の後、慎太郎がいつもよりもゆっくりと甘い声でマリーに話しかけた
甘く囁くような語り口は聞き慣れぬ言葉のせいなのか、眼鏡を外しているせいなのかは小夜には分からないが、耳に心地好い音楽のように自然と体に流れ込む
…ハルもこんな風に愛の言葉を紡いだのだろうか?
訳の解らぬ嫉妬が小夜の中に芽生えてくる
自分に向けられたストレートな告白さえ、もう昔の出来事になってしまった
今はあの世界的な美貌に遥の全てが向けられていると考えるだけで、息が苦しくなる
その名を口にした小夜に、顔を上げずに彼女は小さく頷いた
「あちらに座りませんか?
陽射しが暖かなんですよ」
慎太郎が待つ場所にマリーを優しく誘いゆっくりと歩きだした
マリーに通じぬ言葉で語りかけてしまったが、素直に従ってくれたことに安堵した
しかし、二人かけのソファに一緒に座った彼女の全身からは、薄氷のような脆さが滲み出ている
どう話をしたらよいのか分からず、その骨ばった手を温めるように手を重ねた
しばらくの静寂の後、慎太郎がいつもよりもゆっくりと甘い声でマリーに話しかけた
甘く囁くような語り口は聞き慣れぬ言葉のせいなのか、眼鏡を外しているせいなのかは小夜には分からないが、耳に心地好い音楽のように自然と体に流れ込む
…ハルもこんな風に愛の言葉を紡いだのだろうか?
訳の解らぬ嫉妬が小夜の中に芽生えてくる
自分に向けられたストレートな告白さえ、もう昔の出来事になってしまった
今はあの世界的な美貌に遥の全てが向けられていると考えるだけで、息が苦しくなる