アイ・ラブ・おデブ【完結】
そんなことをどのくらい考えていたのか…ふと気付くと重ねたマリーの手が小刻みに震え出し、大きな瞳がギュッと閉じられている

これ以上は彼女の心が耐えることが出来ないと感じ、小夜は慎太郎に向けて口を開いた

「慎太郎さん…これ以上は…
彼女も深く傷ついているんです
こんな風に笑顔を忘れてしまって…」

思わずマリーの体を包み込むように抱き締めた

「きっと…彼女の優しい笑顔にハルは恋をしたはず…
その笑顔を取り戻して欲しい
彼女自身のためにも…ハルのためにも…
マリーさん…ごめんなさい…
辛い時間に付き合わせてしまって」

小夜の言葉を慎太郎が直ぐにマリーに伝えると、固く閉じられた瞳から大粒の涙がポロリと落ちた

しばらくの間、マリーを温めるかのように抱き締めていた

小刻みに震えていた身体が漸く落ち着きを取り戻したのを感じて、小夜は俯いたままの顔を覗き込んだ

「ねえマリーさん…
お庭がとても気持ち良さそうだから…二人で少し散歩しない?」

慎太郎が訳してくれた言葉に何の返事もなかったが、体を強張らせることもなかった

小夜は傍に畳んでいたショールをマリーの肩に羽織らせ、手を取って立ち上がった
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