アイ・ラブ・おデブ【完結】
「何も話してくれませんでしたね…」

ハンドルを握り、前を向いたまま慎太郎は残念そうに呟いた

「…えぇ
マリーさんに辛い事をさせてしまいました…申し訳ないです」

「そうかもしれませんが…
あなたともっと一緒に居たかったように見えました」

…えっ?どこが?

「先程、対応してくれた職員の方によるとマリーは人に触れられるのを嫌がるそうです
特に女性…黒髪の女性に…
あなたとは初めから触れ合っていたでしょう
気に入られたのではないでしょうか?」

…もしかして…あたし物凄く嫌なことを…
でも…拒否はされなかった…
手を繋いでくれた

パリに戻ったのは日も暮れた夜になってからだった

今年もあと一日…
とうとう、この大きな問題を抱えたまま年越しをしてしまう

自分はいいが、由美子と慎太郎の二人には最低な正月になるのかと思うと心苦しい

二人の強い意志と行動力でここにいるのだが…
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