アイ･ラブ･おデブ【完結】

フランスに来るという情報を逸早く手にし、延期していたミュージックビデオの撮影を急遽行わせたり…

自宅に泊まらせるためにワインを無理に勧めたり…

過去の出来事を持ち出して脅したり…

新しくオープンさせる店を用意したり…

毎晩セクシーな衣装を纏い誘惑をしたり…

あの手この手で必死になっている様が、ありありと伝わってきた

遥はこの場所に…環の元に留まりながらも心を開くことはない

頑なに心を閉ざして、ただここに存在しているだけだった

環の言い付けを破ることはないが、一度もベッドを共にしていない

同じ場所で暮らしていながら、あの美貌に落ちていないことはメイドである自分がよく知っている

…もう３ヶ月以上が経つのに…
あんなに色気のある女性を抱かないなんて
でも…日に日にあの男の瞳がくすんでいる
環様は気づいていないのだろう
手に入れたという慢心で見えていない
心を手に入れていないことを…