アイ・ラブ・おデブ【完結】
エレベーターを降り、背の高いドアを開けるといつものようにミーシャが出迎えた

「お帰りなさいませ」

数時間前にキッチンで見せた柔らかな表情ではなく、見慣れた無表情だった

…おっ…いた…
追い出されなかったのか…
環が許した?
いや…そんな情けはかけないだろう
じゃあ…環はメイドの裏切りに気づかなかったのか?
それとも…追い出されないような…何かを…切り札を…持っているのか?

遥は与えられている部屋で思い巡せた

だが、分かる筈もなく、夕食の準備ができたとの報せにダイニングへと足を運んだ

「環は…?」

いつもなら向かいに用意されている、環の席には何も置かれていない

「おでかけなられています
本日の夕食はお一人でとのことです」

抑揚のない声で説明をし、一人分の食事を給仕した

遥は目の前に環がいないことに安堵し、食欲のない体にただ食べ物を流し込んでいった
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