アイ・ラブ・おデブ【完結】
…今夜もか?

プライドの高い環が連日、部屋を訪れるとは考えにくいが、緊張した面持ちでベッドに横になった

いつの間にかカーテンの向こうは、白白としていて夜明けを告げていた

…ふ~っ…何も起きなかった…
こんな風に毎晩怯えなくてはいけないのか…
ライオンの檻にいる兎にでもなった気分だ

窓の外では小さな雀達が可愛らしい声を響かせている

…彼らの自由な翼が羨ましいな
ライオンの檻だって脱け出して大空を飛んでいけるだろう
雀よりも渡り鳥ならアジアの東端まで行ける

詩人にでもなれそうな想像で、現実から逃げていた

「おはようございます」

今朝も無表情のミーシャがダイニングでいつものごとく出迎えた

朝食の席も一人分だけが用意され、環がいないことを示している

…何か急な仕事でも入ったのだろう

珍しいことではあるが、然程気に止めずにいた

しかし、それは事態を急展開させる幕開けであった
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