アイ･ラブ･おデブ【完結】

「そうなると…手出しが難しくなる…
新しくオープンする店も計画は頓挫しているのでしょう…
ミーシャさん！
やはり、笹原さんへ手紙を渡してもらえませんか？
彼の心を溶かして行動を起こすなら…今しかない！」

ミーシャの前に跪き、その手を握り懇願した

戸惑いの表情で視線を泳がせていたミーシャはやがて目を伏せ、首を横に振った

慎太郎は包み込んだ手を離さずにフランス語で話しかけた

甘く囁くような響きの言葉は、隣で聞いている由美子を照れさせた

まだ困惑の表情のミーシャを車で送り、由美子とアパートへ戻った

「ねえ…あの人を口説いていたの？
年増の熟女に趣味を変えたんだ…
新しい発見ね！」

嬉しそうに慎太郎の肩を叩き、何か反論するのを遮った

「でも…渡すのかしら？
あのメイド…頑固そうだったじゃない？」

目の前に置かれたコーヒーを啜りながら一番の懸念を口にした

「う～ん…分かりませんね
しかし、賽は投げられました
後はどんな目が出るのかお楽しみです」

窓に向けた瞳を輝かせ、ニヤリと口角を上げた

だが、その目には空から舞い降りる白い物は映らず、どこか遠くを見つめていた