アイ･ラブ･おデブ【完結】

広い玄関で客が着くのを待つ間、ミーシャはこれから起こる嵐を感じていた

…ここで客を迎えるのはこれでお仕舞いかしら？
最後の客があの方だなんて…
環様のパリ生活も穏やかに終わらないようね

ドアを開けるとそこには以前よりも野暮ったい風貌の男…ジョエルが焦った表情で立っていた

「たっ環さんは…環さんはいますよね
話が…急いで彼女に伝えなくては…」

「中にお入りくださいませ」

冷たい言い方とは思いながらも、環と離婚した男には丁度良いと無表情を崩さなかった

案内をしたリビングには環がしかめっ面でジョエルを待っていた

「これから出掛けるのよ
用件は手短にして頂戴」

環へ眩しい視線を向けていたジョエルはその言葉にハッとして、来訪の目的を思い出した

「環さん！直ぐに日本へ行きましょう」