アイ・ラブ・おデブ【完結】
「ここなの?
なんで分かるのよ?」

小さく頷くだけで、答えずにジョエルはナースステーションへと向かっていった

環はその後ろ姿を少し離れた場所から眺めていた

いつもならばこんな態度に腹をたて、蔑む言葉を浴びせる所だが、今は心がざわついてそれどころではない

…そっそうよ…父さんが心配で…落ち着かない
こんな状況だもの…

自分の気持ちと会話しているうちに病室を教えてもらったジョエルが振り返り、手招きをした

「奥の個室だそうです」

環の前を先導するように歩き、薄暗い廊下の先へと進んだ

控えめなノックに部屋の中から女性の声で返事が返ってきた

「どうぞ~」

よく聞こえなかったが、この明るい声は叔母の順子のものだ

静かにドアを開くと、狭い部屋に窮屈そうに置かれたベッドの足元が見えた

前を行くジョエルの薄汚れたコートでよくは見えないが、ガタガタと物音がした
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