アイ・ラブ・おデブ【完結】
「まあまあ…いらっしゃい!
遠い所をありがとね…
メルシーメルシー!」
環の予測通りに、順子が明るい声で近づいてきた
ジョエルが頭をちょこんと下げて、環を振り返った
「まあ!環ちゃん!
いらっしゃい…待ってたのよ
さあさあ、お父さんの傍に…」
暖かな順子の言葉にも、堅い表情で立ち尽くしたままでいると、ジョエルがそっと優しく背中を押した
誰もが環の動きに注目し、静かな病室にはピッピッという電子音とシューッという酸素の音だけが響いていた
自分の鼓動を耳元で感じながら、床に張りついた足を一歩一歩前に踏み出した
「父さん…」
白い寝具の合間に見えたのは、土気色の顔のほとんどを酸素マスクで隠した父親が眠る姿だった
ジョエルに促されて枕元の椅子へと座り、布団の下の手を握った
子供の頃、バレエ教室の帰りに繋いだ大きくて暖かい手はそこにはなかった
冷たく筋ばったその手は、長い間の闘病生活を物語っていた
遠い所をありがとね…
メルシーメルシー!」
環の予測通りに、順子が明るい声で近づいてきた
ジョエルが頭をちょこんと下げて、環を振り返った
「まあ!環ちゃん!
いらっしゃい…待ってたのよ
さあさあ、お父さんの傍に…」
暖かな順子の言葉にも、堅い表情で立ち尽くしたままでいると、ジョエルがそっと優しく背中を押した
誰もが環の動きに注目し、静かな病室にはピッピッという電子音とシューッという酸素の音だけが響いていた
自分の鼓動を耳元で感じながら、床に張りついた足を一歩一歩前に踏み出した
「父さん…」
白い寝具の合間に見えたのは、土気色の顔のほとんどを酸素マスクで隠した父親が眠る姿だった
ジョエルに促されて枕元の椅子へと座り、布団の下の手を握った
子供の頃、バレエ教室の帰りに繋いだ大きくて暖かい手はそこにはなかった
冷たく筋ばったその手は、長い間の闘病生活を物語っていた