アイ・ラブ・おデブ【完結】
「いつから…」

顔を上げずに呟くと、足元に立っていた順子が遠慮がちに話し出した

「そうね…3年くらい前かしら…癌だと言われたのは…
手術が出来ない所に癌が見つかって…抗がん剤とか、放射線とか…やったんだけどね
環ちゃんには知らせるなって…
夢の実現の邪魔をしちゃいけないって…」

ハンカチで目頭を押さえ、言葉を選びながら話してくれた

「…そんな前から…」

結婚報告を両親に直接したいというジョエルに連れられ、最後に会った時のことを思い出した

都内のホテルで食事をしながら1時間程話しただけで、両親の近況など話題にもしなかった

スポーツ好きの父親は日に焼けた艶々の顔で笑っていた…
その横で母は、ソワソワと落ち着かない様子で食べるのに集中していた…

すでにその頃には診断を受けていたことになる

一人娘の自分が何も知らずに、異国で好き勝手をしているのをどんな思いでいたのだろうか…
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