アイ・ラブ・おデブ【完結】
…知っていれば手術を受けられるように、世界中だって名医を探してみせたのに…
こんな小さな病院ではなく最新鋭の設備のある所に入らせたのに…

「…教えてくれたら良かったのに…
もっと大きな病院に…
治せる医者を探せたかもしれない…」

つい口にした不満に、それまで離れて見ていたジョエルが近づいてきた

バチン!

環の頬を平手で打った

ジョエルの行動に驚き、打たれた左頬を押さえて見上げた

「環さん…あなたは会いに来たか?
電話もなかったです…
お父さん…言ってました
"いつでも一生懸命な環が好き…
でも頑張り過ぎる
少し休憩…必要"って
お父さんはどんな時もあなたを思ってた」

静かな怒りを込めた目で見下ろし、下手くそな日本語で感情をぶつけてきた

「なぜ、お父さん…教えなかったか…分からないのか?
環さん!あなたは現実を見ないと駄目…
自分の夢ばかりじゃ駄目です」

…なぜジョエルに怒られなくちゃいけないのよ!
女優の私の顔を殴るなんて!
許さない…

環が見当違いの怒りを感じていた時、病室の外がにわかに騒がしくなってきた
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