アイ・ラブ・おデブ【完結】
「離してよ!こんな所は嫌よ!
帰らせて…ねえ…お兄さん!
あたしを連れ出してぇ…」

病院とは似つかわしくないトーンの声が耳に入る

…ほらっ!こんな病院…
早いとこ転院させなくちゃ
主治医に話を聞いて大学病院でも探すわ!

廊下の騒がしさが、開いた扉から静かな病室に入り込んできた

「ほらっ…伯母さん着きましたよ
ちゃんとお見舞いをしましょうね」

まるで駄々っ子を宥めるように、男性は大声の主を伴って姿を現した

「やあ!環ちゃん!
久しぶりだね
子供の頃に会っただけだから…分からないかな?」

遠い記憶の中に坊主頭の野球少年が浮かび、目の前の中年男性と重なる

「友くん?」

少し年の離れた従兄…友明(トモアキ)だった

「よく分かったね
環ちゃんの活躍は日本にいても聞こえてくるから~
あっ!伯母さん!駄目だよ帰っちゃ!
環ちゃんも会いに来てるんだ
さあ伯父さんに…旦那様のお見舞いをしようね」

環を優しい眼差しで見つめていた友明は、背中にいた人物の腕を掴み前へゆっくりと押し出した
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