アイ・ラブ・おデブ【完結】
今から二ヶ月ほど前…ホテルを後にした遥は実家に戻っていた

新しく携帯を手に入れるとジョエルにすぐに連絡をした

まだ環とは話し合える状況にはないと言われ、納戸に押し込められていた愛すべき自転車を引っ張り出した

実家の回りは雪に覆われ、走らすことはできない

…南に行けば乗れるのだろうか…

そんなことを考え、輪行袋や雨具、簡単な着替えなどを準備して再び東京へと向かう電車の中にいた

小夜の姿を一目見るために会社の前で待ち伏せをしようかと考えたが、そんなことをして拒否されるのが恐ろしかった

そのまま、冬の冷たい風が吹く中を南へと漕ぎだした

そうして当てもなく暖かい地を目指して走らせ、半月が経った頃にその連絡はきた

教えられた通りに電車を乗り継ぎ、向かったのは環の実家だ

都心からは離れた閑静な住宅地で、回りと同じようなこじんまりとした一軒屋だった
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