アイ・ラブ・おデブ【完結】
遥に包まれた手はそのままに涙で膝を濡らしていく

遥の言葉に顔を上げることなく、横に首を振る

…さあやもう泣かないで…
辛い思いをさせて悪かった…
だが、もう…君の涙を流させない

「ごめんな…そうだよな
もう…傍にいる資格などないんだ…
勝手なことばかり言って…」

小夜から離れていく言葉を口にしようとすると、遥の手の中で固く握られていた手がゆっくりと開いた

そして、自分のうなじに手を回し、震える指でネックレスを外した

…あぁ指輪を捨ててくれと言ったんだっけ…
薔薇の中にでも投げられる…かな?

今度は遥が審判を受ける側に変わったようだ

ネックレスに通したリングを外し、大切そうに両手で包んだ

そして大きく息を吸うと、目の前に膝まづく遥に差し出した

…返されるのか
また…僕の所に戻ってきた…

すぐには受け取れずに、白い掌に乗せられたリングを見つめた

一息吐くとゆっくりとリングを摘まんだ

その小さな輪から、悲しみと絶望の波が押し寄せ、遥の目の前を黒く染める

…終わった…もう…本当の…別れ…

無意識に息を止め、固く目を閉じていた

その場から立ち上がることも、座り込むこともなく遥は、片膝をついたままリングを握りしめた
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